募集・採用時の年齢制限については、現行法上も「なぜ年齢制限を課すのか」を考える義務が課されている(高年齢煮雇用安定法18条の2第1項)。
もっとも、すでに前で批判したように、表面上それにどう答えればよいかは実は雇用対策法施行規則一条の3第1項が親切に教えてくれている。
しかしここでのシミュレーションにおいては、上記の規定のことは忘れて、なぜ年齢制限が必要なのかヽそれがどのような機能を果たしているのかヽ「ガチンコ」で1から、いやゼロから考えてみよう。
そう、前で触れた「理由説明義務」に関する私の持論に、実際にチャレンジしていただくのだ。
その結果、「他がやっているのでウチもやっていたが、よく考えてみたら年齢制限など不要だということがわかった」というのであれば話は早い。
エイジフリーになっても問題は生じないのだ。
しかしたとえ「年齢制限がないと応募者が多くなり過ぎて収拾がつかなくなる」あるいは、「やっぱり客が若いから店員も若くないと」(ちなみにこれは現行法上、本来許容されない理由である)というような理由が確かにあるということであれば、では年齢制限以外に応募者の数を抑える方策は本当に存在しないのか、若い客層を惹きつける手段は若い店員を使うこと以外にはありえないのか、を検討してみるべきだ。
定年制と募集・採用時の年齢制限だけを例にとったが、それ以外の年齢にこだわったすべての制度についてもこの作業を実施する。
それによって、将来エイジフリー政策が強化されることを想定したシミュレーションができるのはもちろんだが、たとえすぐにそのような変化が起きなくても、なお上記のような作業をする意味はある。
実はこれまで、年齢を基準とする人事管理の仕組みや制度を当然のものと思いこんで、それにこだわりすぎて、いい人材を失ったり、育て損ねたりしていたのかもしれない。
そのことに気がつくことができるかもしれない。
要するに、効率的な経営・人事管理ができているのか、それを企業が考えるための一つの視点がエイジフリーなのである。
「クビ切り」の覚悟をエイジフリー社会に備えて、もう一つ企業サイドとしてやっておかなければならないことがある。
それは、敢えてドギツイ言い方をするなら、従業員の「クビ切り」を行う覚悟をすることである。
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